2015.05.23 カテゴリ:水と言葉

水にまつわる日本のことわざ

ほんの短いフレーズに深い人生哲学がある。 日本でよく使われる、「水」にまつわる名言の数々。

水商売

   客の人気によって収入が左右される商売。江戸時代、両国の河岸に出店する茶店が、 座敷で女性が接客する本業をごまかし、表向きは夏に冷水を売っていたため“水茶屋”と呼ばれていたことが語源。

水入らず

   内輪の者だけで、他人を交えないこと。

立板に水

   弁舌がすらすらとして、よどみがないこと。

寝耳に水

   予想しなかった突然の出来事に驚くこと。

水に流す

   過去のいざこざをすべて打ち捨てること。

我田引水

   自分の田に水を引く。すなわち自分の有利なように事を運ぶこと。

水泡に帰す

   努力のかいもなく無駄に終わること。

水に絵を描く

   できないことのたとえ。骨折り損。

落花流水の情

   お互いに思い合う心があること。

魚心あれば水心

   相手の出方次第で応対の仕様もあるの意。

覆水盆に返らず

   こぼれた水が盆に返らぬように、 一度したことは取り返しがつかない。

聖者は水を楽しむ

   止まらず流れる水のごとく、智者も物事に通じ、滞ることなく処理する。

水喧嘩は雨で直る

   喧嘩の原因がなくなると、すぐ仲良くなること。

水は方円の器に随う

   水が器の形に従うように、人間もまた交友や環境に応じて変化する。

水清ければ魚棲まず

   あまり潔癖すぎると、人が敬遠して寄りつかないことのたとえ

水五訓

常に自己の進路を求めて止まざるは水なり

障害に逢いて激しくその勢いを百倍しうるは水なり

自ら活動して他を動かし得るは水なり

自ら潔して他の汚れを洗い、清濁併せて容るる量あるは水なり

洋々として大海を充たし、発しては霧と化し、凝っては玲瓏たる鏡となり、而も性を失わざるは水なり

水清ければ魚棲まず

あまり水が澄んで透き通っていたのでは魚も隠れる所がないのですまない。人もあまり清廉すぎると、人に親しまれず孤立してしまうこと(孔子家語入管篇)。

水清ければ月宿る

心の正しい人には、神仏の加護があらたかであることのたとえ(神霊矢口渡)

水滴りて石穿つ

雨垂れ石を穿つ(鶴林玉露)。

水の低きに就くごとし

自然の勢いは、止めようとしても止められないこと(孟子)。

水は方円の器に随う

人は交友・環境の善悪によって良くも悪くもなる

水広ければ魚大なり

君主の度量が大きければ賢臣もそれに集まること(淮南子)。

水を向ける

巫女が神寄せをするときに、たむけの水をかけることに基づく。

水は湿りにつき火は乾につく

因縁のある方に動くたとえ。

水火の争い

正反対の立場で仲が悪いこと(顕昭陳状)。

水火を辞せず

水におぼれ火に焼かれるほどの苦痛をも物ともせず動く。

水鏡私無し

水と鏡は物の姿をそのまま写して公平であることのたとえ(三国蜀志)。

水魚の交わり

君臣の間柄の親密なこと(三国蜀志)。

君子の交わりは淡として水の如し

玉水・神水

唾液の別名

宝水

寝る前に飲む水のこと。
*中高齢者はぜひ実行しましょう。

水は生命の根源である

ターレス(古代ギリシャの哲人)

上善は水の如し

最高においしい酒は水のようだ

万物の根元(もと)は水ぞと喝破せし哲人ありき三千年の昔に

三笠宮崇仁(たかひと)親王の歌会始めの献詠歌

一切の味は、水を籍(か)らざれば、其の味を発する能(あた)わず

幸田露伴の「水の味」の一節